ある展覧会にて

2026年10月10日 00:00

日産のデザイン部門のOB有志で趣味の作品を披露する展覧会があった。

私の友人Sさんから案内状を頂き、みなとみらいの赤レンガ倉庫の会場に行き、彼と会う前に全作品を見て歩いた。絵画、写真、書道、造形など多々な作品が展示されていたが皆元々芸大などを卒業して自動車のデザイン部門で活躍した人たち、退職後の趣味の作品とは言えプロ並みの力作ばかりだ。

Sさんが食事から戻ってきたので作品の前で暫し懇談した。

彼の作品は根付、和服の小粋な飾り物で小さいが柘植や楠木などを用い細部まで丁寧に彫り込んだ鳥、魚、動植物などの作品だ。以前には無かった作風のものがあった。それは樹から掘り出した台地に立つ瀟洒な家で北欧の風景からインスピレーションを得てデザインしたと言う。そこには物語を連想させる風景が見える。

話は6年前に遡るが、私が鎌倉で個展を開いた時に来廊してくれた。その時に私の作品を見て木工の世界に目覚め根付作品を作る道に入ったと初めての話しをしたのには驚いた。その時に私はワイエスのクリスティーナの世界の風景にインスピレーションを受けた作品を展示して2人のお客様に買って頂いた。一人のお客様からこの作品には物語が有ると言われた事を思い出した。

彼にそんな話しをしながら、目の前にある風景の作品を買いたいと呟いた。彼はそれは売り物ではないので新しく作ってやると言った。そんな事になるかなと思いカバンに入れておいた私のイギリスの民家の作品を出しこれとブツブツ交換しないかと渡し、交渉?は成立した。

こうした会話と出来事があるから人と会うことは楽しくなると思いながら彼の作品ができてくるのを心待ちにしている。