それぞれの人のプロジェクトX
今日からNHK TVで新プロジェクトXが始まった。スタートは世界一高い電波塔スカイツリーの建設の物語。
印象的なあのテーマ音楽が流れ始めるや、目を瞑り人生を振り返っている自分がいる。
2000〜2005にプロジェクトX挑戦者達が放映され、冒頭の主題歌中島みゆき地上の星が流れる。放映されたプロジェクトの内一番印象的だったのは黒四ダムの建設、そしてライバル自動車会社の世界初の技術開発であるマスキー法を初めてクリアしたH社のCVCCと夢のエンジンと言われたM社のロータリーエンジンの開発物語。淡々としたナレーターの強い語りは熾烈な開発競争をしていた企業戦士の魂に響いた。
プロジェクトが成した遂げた成果物が凄いのは当然ながら、この番組の良さはそれを成し遂げた人々の未知の世界への挑戦の物語に光を当てている事だ。中島みゆきはそれを地上の星と表現した。その星は光の強さに違いはあったかも知れないがその時代の一人ひとりの心の中にあったと思う。
私も50代に今までに経験したことが無い会社の命運を掛けた自動車の重要システムをベトナムで生産するプロジェクトを遂行していた。ちょうどその頃に放映が始まり、私のチームのあるメンバーが“このプロジェクトは我々にとってプロジェクトXですね“と呟いた。確かに登る山の高さには違いはあるけど、一人ひとりにとって一生に一度の挑戦の時だったのだ。絶対に成功させるぞと心に誓い皆の気持ちも一つになり厳しい毎日を乗り越えその後の会社の柱に育った成果に繋がった。
後日社史を編纂した時に一人ひとりの体験を物語として残せないかと思い、社史の中に時代の証人の言葉として入れる工夫をした。
自分たちのプロジェクトXを共有した仲間と今も賑やかに呑み交わしている。