シンプルなかたち展

2015年07月03日 22:34

六本木ヒルズにある森美術館で〈シンプルなかたち展〉が開かれているのを知り出掛けて見た。

私は趣味で木工作品を作っているのでできるだけ美術展等を見て遅まきながら美の感性なるものを磨こうとしているのであるが、その効果があるかどうかは自分では分からない。

展示は古今東西の紀元前4000年前から現代までの造形作品が9のテーマに分類されている。最初にいきなり建築家のコルビジェが収集したという石ころが展示されていた。至ってシンプルな石で人によれば海岸にいくらでもある石ころであるが、コルビジェの目に映った石ころは彼の宝物。シンプルが故に見る人の心の有り様で色々な解釈ができる。それは杉本博司の〈海景〉シリーズの写真にも言えて、ただ海と空とその境界の地平線が写っているだけ。

その中に私の目を釘付けしたのはインドネシアの木の枕の形の素晴らしい造型美と紀元前4000年前のエジプトの水差しの繊細な技巧と造型美にはビックリした。技術などの文明は確かに進化しているので4000年前と現代ではその差は歴然としているが、美的な表現に関しては人類はなにも進化していないのではないかとさえ思えた。それはシンプルなものは限界まで装飾を削ぎ落してものの本質だけを形にしたものだから、人の美意識に関しては昔も今も、地域差もないのだろうと思った。

美術館だから写真は撮れないのだが、添付したものだけは撮影が許可されていた。一つのガラスのリングが風で動きそこに投映された光線が四方の壁に描く不思議な世界。