フランスロマネスク建築の旅
バーチャルでフランスロマネスク建築の修道院・教会を探訪している。
N社の先輩のTさんは研究職の傍らフランスロマネスク建築にも造詣が深く、夏休みには時々一人でそれらの修道院や教会などを探訪する旅をしていた。早く亡くなられたので話を聞く事が叶わなかったが、私には憧れであった。
ル・トロネ修道院の静謐な空間は写真集で見て訪れたい思いがあったが叶わず、実際の建築物はパリのサンジェルマン・デュプレ教会しか見ていない。既に夢の夢になってしまった。
が、最近インターネットを活用して主だった建築物を見て歩き、資料をデータベースとしてきた。
60件余りのロマネスク建築を地図上にプロットすると圧倒的にフランスの南半分に点在している。それはヴェズレーからスペインのコンポステラへの巡礼の道に重なっていて地方色の濃い中世の人々の生活と密着した佇まいとなっている。柱頭に施された不思議な彫刻や壁画は字を読めない民衆に神の教えを理解させるためと言われるが素朴な表現に惹かれる。
それとは別にシトー派の修道士の祈りの場としての修道院建築が素晴らしい、なんといってもル・トロネ修道院の石積みの何の装飾もない質素で神聖な空間はそこにいるだけで心が浄化される様な気がする。日本の仏教建築で当てはめるなら、唐招提寺金堂や東大寺法華堂だろうか?
フランスまで行けない年齢になり、せめて奈良の古寺を訪れたくなった。