ベネッチア残照、そしてコロナ感染ロックダウン
テレビでコロナ感染でロックダウンされたベネッチアの今を放映していたがそこには人影はなく映画のセットのような空虚な風景があった。
25年前にN社を辞めた記念に妻とイタリアのツアーに参加したがその時初めてベネッチアに行って世界にこんな魅力的な街がある事に感動した事を思い出した。グランデカナルから少し中に入った狭い運河沿いのホテルに泊まり朝夕時の鐘を聴きながら街を歩いた。定番の観光スポットも良かったが、狭い路地を迷子になる不安を抱きながらも歩き思わぬ広場に出た時のワクワク感。歩き疲れて有名なカフェ〈フローリアン〉に入り2人で寛ぐ優雅な時間。夜の帳が下り僅かな灯を頼りにお目当てのレストランへ行き食べた極上のイタリアンの美味しかった事。船に乗り向かいの島のサン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂に行き鐘塔の上から見た街並み風景を目に焼き付けもう一度来ようと。全てが非日常の祝祭日であるような特別な時間を味わったベネッチア。
そして25年後、また行きたいと思い続けていたベネッチアから人影が消えこの世のものとは思えぬ姿をテレビで見て改めて今世界で人々を恐怖に陥れているコロナ感染の凄さを感じた。
ベネッチアで毎年賑わう仮面カーニバルは突然途中で中止となったが、中世に大流行したペストの感染対策として生まれた長い嘴の鳥の仮面の名残だと言うから皮肉なものだ。
ベネッチアまたあの日味わった魅力的な街として早く生き返ってくれる事を祈りたい。