不思議な佇まいの中で
横浜の南部の住宅地に不思議なカフェがある。
家内とそのカフェで友人に会うために出掛けた。そのカフェは機長の職を定年で辞めたご主人と多分スチュワーデスであっただろう美人の奥様だけでやっている山小屋風の部屋、週の半分だけカフェとしてオーブン、残りの日は奥様のジュエリー教室になる。
友人が遅れてくるとの連絡があり我々だけ先にランチを食べながらご主人を交えての談笑をしていたら、次々と客人が入ってきた。それらの人々は常連さんでご主人とも気楽に話すが、客人同士も楽しく話し始めるのでさながらサロンの雰囲気になる。
1歳前後の子供連れの若いママたち、子どもも板の床の上を歩きまわりそれを見る皆さんも笑顔がこぼれる。
昼休みの時間に会社を抜け出して来た娘と母が食事をしながら談笑に加わる。
中年の男性も最近お馴染みさんになったとか一人でランチ、そして若い高校生が入って来て大学に合格したとご主人に報告する、このカフェが勉強部屋でもあったようだ。我々も高校生とまともに話すことなどないが、これからの大学生活に夢を語る初々しい若者としばし談笑した。
友人も到着しあっと言う間の2時間であったが、カフェのご夫妻の人柄とそこに集う人々が作り出す緩い佇まいに暫し心豊かな時間となった。
その後、友人の家の近くに住む奥さまが作り上げた苔庭を見にカフェのご主人と友人と一緒に行ったが、住宅地の中に見事な苔むす庭が広がっていた。
住宅地の中に不思議な空間と人々の佇まいがあった。