世界的指揮者小澤征爾逝く

2024年02月11日 00:00

2/6日、世界的指揮者の小澤征爾が88歳の生涯を閉じた。

生で氏の演奏会を聴く機会が無かったのは残念だったが、若い頃のブラームスの交響曲第一番の演奏に始まり円熟期のベートーヴェン、そしてほぼ最後の指揮でモーツァルトのディベルティメントまでビデオ録画をして聴いてきた。溌剌とした力強いブラームスの演奏が好きだった、指揮棒を使わないモーツァルトの演奏は滋味に満ちたものだった。思えば長い間、小澤征爾の音楽に癒されてきた。

自伝に書かれている様に若き頃スクーターに乗りフランスを旅している途中、ブザンソン音楽コンクールで優勝したのを契機に世界に飛び立ちカラヤンやバーンスタインの薫陶を得て、30年ほどの長きにわたりボストン交響楽団を指揮しするなど世界的な指揮者てして音楽界をリードして来た。しかしマエストロでありながらカラヤンの様な威厳を素ぶりに表す事はなく親しみやすい人柄が滲み出ていたと思う。サイトウキネンフェスティバル松本には世界の著名な演奏者が喜んで参加し家族的な雰囲気で小澤征爾指揮の演奏を楽しんでいる姿を見て日本人として誇らしい気持ちになった。

天真爛漫で飾り気の無い人柄と深い音楽性、今日の朝日に投稿された村上春樹の追悼文に端的に表されている。

最後の頃の自らを鞭打ちながらの指揮する姿を見るに付けて痛々しさを感じていたが、逝去した今日本の至宝を失ったような気がする。