地域再発見と振興、日本とイタリア
今並行して2冊の本を読んでいる。
一冊はイタリアの〈アルベルゴ・ディフーゾ〉、もう一冊は日本の〈NIPPONIA〉いずれも分散型の宿による地域振興の話しである。
イタリアには地方に美しい小さな街や村が沢山あり魅力を感じていた。どんな田舎でも石造りの家は味わいがある佇まいで街々に教会の塔があったりして自然の中に独特の風景を作っている。一方日本の田舎の街や村は木の家が多く朽ちやすい、美しいと言えない状態で改築されたり衰退していると思っていた。唯一妻籠や関など昔の宿場町や吹屋や内子などベンガラや木蝋などの産業で栄えた街だけが統一した街並みを残し伝統的建築物保存地区として生活を維持しながら保存されている。しかし名も知らぬ町や村にも潜在的な美しい風景や豊かな暮らしがある事に気付いて地域振興の活動が少しずつ進展しているらしい。
その代表的な活動がNIPPONIA、城下町篠山市の近郊集落丸山地区で始まり今は全国32ヶ所で展開されている。似たような取組は自遊人が企画・実施した〈商店街ホテル講 大津百町〉が最初のように思う。いずれも地域の古民家数軒を昔の面影は残し設備は快適に改装し分散型ホテルにして近くに集中フロントを設けサーポートしている。また来客がその地の滞在を楽しむ場としてレストランやカフェそしてクラフト店などを点在させホテルと合わせてトータル的に街や村を活性化させている。それぞれの施設は地域事業者が営利事業として行うが、基本理念に地域を活性化させる事と掲げているので地域住民も参加している。
この本を読み始めて知った町に奥多摩の小菅村、美濃、竹田、福住などの町があるが観光ではなく滞在する時間を楽しむ場所として再発見した気がする。
話は戻るが、イタリアでは日本より早く田舎の名も知れぬ村(アペニン山脈の山奥)の風景を再発見し地域振興させる活動〈アルベルゴ・ディフーゾ分散型の宿〉が始まりその後のアグリツーリズムと協調し発展しているようだ。
人々は都市の刺激的な生活に飽きたり疲れたりし田舎に豊かな暮らしの風景があることに気づいたのだろう。これが日本のこれからの道標となれば一流国でなくとも幸せな国になるだろうと考える。