安野光雅さんの逝去

2021年01月16日 00:00

昨年暮れに安野光雅さんが亡くなったことを今日ニュースで知った。
安野さんは94年前に津和野に生まれ、騙し絵や空想的な絵本は子供から大人まで想像力を刺激し続けた。私にとっては〈旅の絵本〉シリーズが何よりも魅力的だった。ヨーロッパからアメリカの国々の昔の生活感満載の街や村の佇まいを軽妙な味のある筆遣いで描いている。
約10年前に木工制作を始めて以来、私のライフワークとして欧米の古民家や街並みのミニチュア作りをしているが、少なくとも初期の作品のヒントはほとんど〈旅の絵本〉であった。安野さんの街並みの捉え方は今でこそドローンが鳥の目で見せてくれるが俯瞰的でありかつ空想力満載である。そこから私がインスピレーションを受けて一枚の木の上に木の家と街並みに仕立てるのだが、安野さんの絵は構図の良さと建築物に正確な寸法取りがありながら適度な省略があるのでミニチュアを作るのに都合が良かった。写真は旅の絵本のアメリカの入植者の村そしてミニチュアであるが欧州の国々の民家そして街並みも沢山作り有知人に提供したり個展でお買い上げ頂いた。
私の心の中ではミニチュア作品を安野さんに見て頂きたいと思っていた。そしてそれを見ながらお話をさせて頂いているのを夢見ていた。もちろんそれは叶わない話であるが、安野さんの優しい眼差しはそんな空想を許してくれた。
ありがとうございます安野光雅さん、安らかに。