家具を作る楽しみ

2014年01月31日 09:30

昨年の展示会で頼まれた家具が完成した。

それは展示会に来て頂いたK夫妻の奥様からの依頼で、私が作った引出しが16個付いた小ダンスを見て女性が外出する時の身支度の際に使う小物を入れるチェストが作れないかとの話が発端であった。昨年K宅を訪問し打ち合わせた内容を元にデザイン案を作成し了解を得たので今年になって材料を調達して製作に掛かった。自宅用で作った小ダンスは実は家のリフォームの時に集めたサンプルの板やフローリングで余った材料を生かしたものであるからあえて引出しの突き板はまちまちで作りそのデザインの面白さが良かった面もある。しかし売り物となるとそうはいかない、新木場のもくもくでブラックチェリーの無垢板から4mm厚の突き板に加工してもらう等木の選択にも気を使う。引出しの取手は市販のものでは満足できずローズウッドを削り出して自作した。そして製作時も何時もより精度よく部材を切りだし、基本に忠実に組み立てを行い、仕上げも念入りに行うなど十分な時間を掛けた。そうした過程は結果に正直に反映され良い仕上がりの綺麗なチェストが完成した。搬入が楽しみになった。

この製作を通じ家具を作る楽しみは使う人の生活を思い描きながらデザインし製作する事の全ての行程にあるのだと思った。