幸せな春の匂い

2022年03月01日 00:00

ここ数日で一気に春らしい陽気になり固く蕾に包まっていた梅の花も蕾の中からピンク色を覗かせた。こんにちは!と
陽気が良くなると散歩への意欲も増してくる。夫婦でホームドクターの診察と薬を貰いに出掛ける時、未だ予約時間に余裕があるなと遠回りして近くの丘越えで行く事にした。この丘は東京湾を一望でき地元農家の畑と多くは市民農園になっている。そんな道を歩いていると道路脇の斜面に蕗の薹を見つけた。蕗の薹の香りは梅の花以上に春を感じさせると思ってるが、郷里の信州では春は遅いから山里なら4月後半雪解けの道路側に一面薄緑の蕗の薹が芽を出す。それを摘み取り蕗味噌や味噌汁に入れて食べるのが楽しみであった。
そんな事を思い出しながら夫婦で必死に蕗の薹を取り家に持ち帰り、大きなものは天ぷらに小ぶりのものは刻んで蕗味噌にした。郷里では蕗味噌を金網みに乗せ炭で焼いて焦げ目を付けていたのを思い出しバーナーを使い焦がしてみた。炊き立てのご飯に乗せて食べるとご飯の甘い匂いと蕗味噌の香ばしい香りが鼻に抜けとても幸せな気持ちになれた。
コロナ禍の中のささやかな幸せを運んでくれた丘の上の蕗の薹であった。