彫刻家の舟越桂さん死去

2024年03月29日 00:00

彫刻家の舟越桂さんが72歳で死去された。

私が氏を知ったのは彫刻家の婿の恩師であったからであるが、現代具象作家を牽引する素晴らしい彫刻家である。

長崎にある二十六聖人殉教者像で有名な舟越保武の息子の桂さんはマテリアルに伝統的な青銅に替えて楠木を使い彩色し目玉に大理石を入れた人物像で独自の世界観を表現して来た。その彫刻は詩的で静かでありながら強い人間の意思を湛えていて運慶の仏像にも通じる様に私には思えた。

館林の群馬県立美術館で行われた作品展を観に行ったが作品群の中にいると気持ちが和らぐように感じ暫く作品と向き合っていたことを思い出す。私などが作品を評するなどできないが、私の愛読書の須賀敦子のエッセイの表紙にも使われていてそのエッセイの本質と彫刻の精神性がピッタリ合っていたと思う。

まだまだ活躍して貰いたい年齢での死去は残念である。

合掌