懐かしい風景と共に

2016年11月05日 22:01

私の家のお墓は長野市の北のはずれの林檎畑の中にあるが、諸事情のため改葬することになった。

その墓は小高い丘の中腹にあり、昔は墓参りの時にはそこから見える善光寺平や菅平の山を見ながら家族で弁当を食べた思い出がある。そんな懐かしい場所にある墓ではあるが、いずれ我々も歳をとるに従いその場所へ行くこともままならずましてや次の世代になれば忘れ去られてしまうかも知れず墓守等出来なくなることを危惧して、母が存命のうちに家族が主に住んでいる地に改葬することにした。改葬当日、家族と親戚が山の墓まで登りお寺さんに墓から魂を抜く法要をしてもらい、埋葬してある先祖代々の骨を取り出し骨壺へ入れ新しい地への旅立ちとなった。

その後の食事会は敢えて法事スタイルとはせず近くのワイナリーがやっている見晴らしのよいレストランで賑やかに昔話をしながら行うこととした。善光寺平を眺望する丘の上のレストランからはお墓のある林檎畑も見え、懐かしい思い出話し祖先への供養ともなったのではないかと思う。そして家族や親戚が集まり昔を偲ぶことはそこに集まった人々の今を確認する場でもあり、これからを生きて行く力を貰える場でもあったように感じた。

私も窓越しに善光寺平や志賀や菅平など目に焼き付いている風景を懐かしい想いで見ながら、明日の横浜の地での埋葬行事そして暮らしに想いを馳せていた。