木工製品の一時帰還に想う

2022年07月03日 00:00

趣味でやっている木工、長いこと色々な人に使って頂いているが時に修理依頼が舞い込んでくる。
トレーが真二つに割れた写真が送られて来て、愛着があるモノなので修復できないかと言う。後日送られてきた無残な姿を見るなり、割れた経緯はともかく艶のある木肌から長く使い込んだ事が伺われ、モノに宿る使い手の時間の記憶を想う。
この作品もそうだが、私の作品は使い手との
デザインなど共同作業を経てできあがる。だから引渡す時には我が子を預ける様な気持ちを覚える時がある。もちろん何事も無く使い続けて頂ければそれに越したことは無いのだが、使う中で壊れる事もある。その瞬間消え去るもモノも多い中、使い手が手元に残したいだから修復できないものかと思う気持ちに救われて我が手元に戻ってくるのを見てお帰りと声をかけてあげたくもなる。そして私は元の姿に直す作業をする。

壊れた姿は確かに痛々しいのであるが、修理して使い手に戻せる時にはこの作品を通して作り繋がる喜びを味わい直す幸せを感じる。