民藝展を見る
2024年06月12日 00:00
世田谷美術館で今月末まで開催されている民藝展を見に出掛けた。
この美術館は固有の収集品は無いようだが、その代わり時々素晴らしい企画展を開催している。昨年はシャガールを特集して見応えがあったが、今回は柳宗悦が門戸を開き今に至るまで全国各地で見つけた名もなき人々が作り暮らしの中で使われて来た陶器や衣類、籠、道具などに美しさを見出した秀逸なる手仕事の品の展示。
柳は民藝運動を広めた思想家だが、そこに集まった作家は陶芸の濱田庄司や河井寛次郎、型染めの芹沢銈介、木工の黒田辰秋などなど錚々たる人々、彼らの目に止まった物たちは芸術の領域ではないが、実用的でありながら美しく今の我々の心に響く物ばかりだ。
私も趣味で木工作品を作り個展もやり多くの方に買って頂いたが、道具は使い易さが一番大事ではあるがそれに加えて持つ喜びを感じられる美しさが価値を高めると思ってカーブ一つにもかなり拘った。だから買い手の方々との会話で作者の意図が通じた時の喜びはなによりだった。
展覧会は女性の方々が多かったのも、民藝が今の時代も変わらぬ価値を持ち続けているからでそれが民族の文化レベルの高さの証でもあると思う。
初夏の砧公園の森に吹く風の心地よさを感じながらの展覧会であった。