炎のデザート

2024年05月30日 00:00

沢木耕太郎の〈心の窓〉を眠り薬代わりに読んでいる。彼の旅の写真エッセイは旅先での出会いの一瞬を上手く捉えてる写真と文章が好きだ。

その中に“炎のデザート”の一文が私の経験と重なった。彼とは場所と食材が違っているが、その場で感じた事は共通している。

私は50歳から退職するまでの間、仕事の関係で多い時には月一でベトナムへ一週間程度の出張をしていた。時に客先のVIPなどに我が社の海外工場の品質レベルやコスト競争力をPRするために同行した。そんな時にはホーチミンの素敵なレストランで食事を共にすることがお決まりだった。ベトナムはかってフランスの植民地だったので両国の文化が融合したセンスの良い佇まいのレストランがあり優雅な時間とレベルの高い食事が食べられる。そんな時に最後のデザートに出てくるメニューがまさしく“炎のデザート”であった。沢木さんはプノンペンのラッフルズホテルでブドウをバターでソテーしたモノにブランデーを掛けて着火させて炎が高々と上がる演出をする、それをアイスクリームと合わせて食べたのが最高に美味かったと書いてあったが、私がホーチミンで食べたのはブドウの代わりにバナナであった。

何方が美味しいかは分からないが、いずれも日本では見掛けないけど同じ様に美味しいはずだ。

彼が言う様に日本で提供したら女性客の心を鷲掴みするのは間違い無いだろと思う。