玉村豊男さん逝く
今朝の新聞に玉村さんの訃報記事が掲載された。享年80歳。
彼を知ったのは私が欧州の街並みを木工ミニチュアにしていた頃、パリの人々の風景を絵とエッセイで綴った本を読んだことがスタートだった。その後、ワイナリー生活を絵とエッセイで描いた〈田園の快楽〉などを憧れを感じながら読んだ。
その玉村さんが東御の丘にワイナリーを開きそこから見る千曲川流域の風景が素晴らしくレストランとフラワーガーデンを何度か訪問した。
ある年のワイナリーの広報誌にクラフト展参加募集があり安曇野で個展を開いた直後にイタリアの民家のミニチュアセットを応募した。そして準大賞のお客様賞を頂き妻と共に記念式典に参加した。私にとって憧れの人と会い豊かな時間を過ごした思い出深い場であった。
氏ほど多方面に渡る豊かな才能で人生を楽しんで来た人は知らない。絵画と随筆をスタートにワイナリーを開き素晴らしいロケーションのレストランを併設して奥様とお客様との交流を楽しむ。奥様も穏やかな人柄で我々とも接してくれた。玉村さんは自らもプロ並みの料理を作り本も出すことも楽しみとする多才の人だった。
千曲川の流れに沿い沢山のワイナリーが誕生しているが、晩年はその仕掛け人としても活躍した。G7でも供された評価の高いワインを生み出すワイナリーは子供に恵まれなかったので後継者を育てて事業を譲った様だ。
数年前にワイナリーに伺いお会いしたかったが外出で叶わず私の木工作品を従業員に託したが、今考えるとその頃から体調を崩していたのではなかろうか?
しかし死の直前まで文筆活動は続けておられた様で今年の6月に最後の本〈ブドウ畑の傍で暮らす〉が出版された。ブドウ畑は氏の人生そのものであったにちがいない。
ご冥福を祈りたい。
