用の美について
2018年06月06日 16:46
私は木工を趣味としているので学ぶために作家との触れ合いや作品を見る機会を大切にして来た。そして影響を受けて来た多くの作家の底流には柳宗悦の提唱した〈民芸〉、そして最近の三谷龍二などの〈生活工芸〉の中で盛んに言われる〈用の美〉の考え方があると思っている。
今回私の木工作品の個展を開催するに当たり主題の街並みのミニチュアに加え日々の生活を豊かにする雑貨も展示販売する。そのための作品を少しずつ作り始めているが、改めて用の美を意識しながら手を動かしている自分がいる。
用の美、生活を豊かにしてくれる道具たちへの称賛の言葉、道具は機能的に使いやすいものでなくては長くは使って貰えないが、加えて使いたくなるような美しさが備われば良いなと思う。使いやすさは自宅で使いながら改良していけるが、美しさは作り手の感性そのものが滲み出てくるようなもので奥が深いし、自己満足で終わってしまうかも知れない。写真は今回の作品の一つのタナー(鍋をかき混ぜる調理道具)であるが、欅の柾目を使い軽くて手に馴染み使い易いそして美しい形を追求して見た。
今回の展示で皆さんからどんな感想が聞けるかを楽しみにしている。