藤田嗣治展

2018年09月12日 21:57

上野の東京都美術館で藤田嗣治の没50年の回顧展が開かれている。夏の暑さが嘘の様な涼しい風が吹く日に出掛けた。
彼の作品は数年前に国立近代美術館で始めて見て乳白色の地に細い筆で描かれた黒い線の印象が残っていた。
館内はかなりの人で人気のほどがうかがわれた。初期の作品はパリでモリジアーニの影響を受けた作風の人物画が多く余り感心しなかったが、パリの風景画は良かった。
ある時から彼独自の手法を編み出し乳白色の地に黒の細い線で輪郭が描かれモノトーンの様な陰影で女性の裸体が描かれている作品が生み出された。そして背景の布地や静物が丁寧な質感で描かれて、裸体の艶かしさよりも美しさが素直に響いてくるような絵だ。
彼の作風が戦争の前後でかなり変化しているのは少し違和感を覚えたが、晩年の洗礼を受けた後の宗教画は中世の宗教画とは違う世界観を感じさせるようだった。
素晴らしい絵画を見て暫し余韻を楽しみながら近くのカフェでコーヒーを飲んだ。