達人の作品と心に触れる
私は趣味として木工と写真などをしているが、いわゆる教室で勉強する事はしていない。その代わり、其の道の達人の作品に触れたり其の人の話を聞いたりして自分の感性を磨くように心がけている。
連休もスタートし、毎日が日曜日の身には混んでいる時に旅行をする事もないが、昨日は久しぶりに銀座と品川界隈に出かけた。
東銀座は新歌舞伎座が評判になっているが、地下鉄の出口の先に高松の桜製作所が展開する桜ショップがある。桜製作所は、木匠と言われたジョウジ・ナカシマの作品を委託制作しているし四国の手仕事の発展のために重要な役割を果たしている木工メーカである。今日のお目当ては、そこのショップでの企画展とジョージ・ナカシマの作品やオリジナルの銘木作品を見る事にある。ブラックウォールナットの木をこよなく愛している作家の作品は私が見てもほれぼれする木の表情が素晴らしい。それと一つ一つの加工が丁寧でそれ自体が美しさを醸し出す。私の物作りのヒントを貰えたと嬉しい気分になった。
お昼に銀座でお手頃なちらし寿司を食べ、品川に向かう。ここではキャノンが主催する写真展と作家のトークショーが開催されていて、何度か参加して来た。今日は田沼武能の“シルクロード心の旅”。彼の写真は30年近く前の堀田善衛との共著“カタルーにア讃歌”で知っていたが、子供の素敵な表情を撮る感性が素晴らしいと思った。これらの写真は一瞬の構図とシャッターチャンスを逃がさない事の前に子供たちとどう向き合い自由な気持ちに解放させて写真が撮れたかがポイントと思う。自分の子供たちの写真でさえ満足出来きた経験は少ないが、時たま偶然のこの一枚の写真が撮れた思い出はある。この写真家は既に84歳になるが、話を聞きながら写真を撮る喜びに溢れていると思った。
久しぶりに達人の作品と心に触れた満たされた時を持てた。