須賀敦子没20年に
2018年03月20日 22:16
今年は須賀敦子没後20年になるが、相変わらず読者が増えているとのこと、記念出版も多々出ている。
とりわけ未公表だった若きころイタリアに渡り人生を決める人々と過ごした頃に作られた詩が見つかり詩集〈主よ 一羽の鳩のために〉が出版されたのにはビックリ、他の本とともに購入した。前にもアメリカ在住の年下の友人に宛てた手紙が出版されたが、いずれも人目に留まることを想定してないものであるが故に彼女の心のありようがストレートに表現されていて自分に厳しく生きてきた人そしてそこから紡がれた心に響く強く美しい日本語で綴られた随筆との対比が面白い。
そして彼女と長い交友があった大竹昭子の〈須賀敦子の旅路〉、ミラノ・ベネチア・ローマそして東京で思索の旅をするような彼女の人生の足跡を辿る本を読んでいて一緒に歩いているが如く豊かで静かな時を過ごすことができた。
活字離れが激しい昨今、読むごとに新たな発見があり魅了されていく文章をこよなく愛する人々がいる。