食べ物の記憶
2023年11月04日 00:00
昨夜娘家族と西鎌倉の四国料理屋で夕飯を食べた。
女店主は松山の出身で四国の食材を取り寄せ調理して出す小さな居酒屋をやっている。そのメニューには藁焼きのカツオのタタキ、手打ちうどん、じゃこ天などと陶器で有名な砥部の地酒があった。
先週旅先の高松で初めて食したじゃこ天が美味しかったので愛媛出身の友人に話したら、どうやら地域ごと味が違うらしい。この店のは宇和島のじゃこ天で燻ってある、見るからに高松の物とは違い少し厚めで食感は柔らかめ、味の違いも感じられたがいずれもじゃこの旨みが素晴らしい。
Tさんは宇和島のものが大好物だと言う。中学生まで松山にいたと言っていたのでその味は舌に染み込んでいるのだろう。ある本に味覚により人は昔の記憶を蘇らせると書いてあったが、その味覚とは食の記憶そのもので懐かしい思い出とセットになって脳に記憶され香りや味覚により引き出されてくる。だからその味は心地よくいつまでも自分の好みになっているのだろう。
山国に育った私は野沢菜などの漬け物がそれにあたるが、故郷に帰る機会が少なくなった今、それを味わう事ができないでいる。